自律神経あれこれ
【もしかしたら自律神経の乱れ(失調症状)かも?と疑っていらっしゃる方へ】
ご自身の不調を検索して調べ、自律神経から来る不調?と自己判断されている方も多くいらっしゃるかもしれませんね?
そのような方向けに簡単にでは有りますが説明を述べさせて頂きます。
●「そもそも自律神経って」
自分で意識しなくても自動で生命維持をするために働いている神経です。
心臓を動かして血液を全身に循環させたり、呼吸を行ったり、飲食物を消化吸収したり、体温調整などを司ります。
これらは自分で意識して行っている訳ではありませんし、そもそも自分でどうにかすることも出来ませんね。
そしてこれらは単体の神経で行っている訳では無く、複数の神経がネットワークを組んで存在しているため正しくは”自律神経系”と呼ばれています。
坐骨神経痛で有名な「坐骨神経」などは単体で存在していますので”系”などとは呼ばれませんね。
しかし通常は面倒ですし、必要も無いですので「自律神経」と呼ばれます。
ちょっとややこしいですね。
ですので本稿でも自律神経と表記させて頂きます。
●【自律神経の種類】
「交感神経」系:活動時に働く、車に例えるとアクセル、脈が速くなる、呼吸回数が増える、気管が拡がる、血管が収縮、消化を抑制…など。
「副交感神経」系:リラックス、就眠中に働く、車に例えるとブレーキ、脈が遅くなる、呼吸回数が減る…など。交感神経とは主に逆の作用。
交感神経:例えば大勢の人の前でスピーチしようとしたり、絶叫マシーンに乗った時など緊張、興奮などの時は心臓バクバク、呼吸も早く粗い、脇汗かいたり…モードです。
副交感神経:うたた寝したり、リラックス出来る環境で過ごしたり…ゆったりまったりモードです。
また1日の中でも起床に向けて交感神経が優位に働きだし、夕方~夜になるとお休みモードの副交感神経が優位に働き出します。
これらの働きの全てが自律神経を介在して行われている訳ですから、いかに重要かが窺えます。
●【自律神経はどこにある?】
交感神経:胸髄(背骨の頚の付け根の下から胸椎が始まりますが、その中にある神経の束のこと)~腰髄2番(腰椎の中にある神経の束)
副交感神経:脳幹(脳の下部、、小脳や延髄など)、仙髄(仙骨の中の神経の束)
このような場所から神経系が出て各臓器などに分布されています。
いや、なかなか難しいですね。
●【自律神経のバランスが乱れる訳は?】
このように絶妙にバランスを取りながら保たれている自律神経ですが、また絶妙が故にバランスを崩してしまうのかも知れませんね。
その大きな要因として挙げられているのは以下ような事です。
★精神的ストレス、肉体的ストレス
肉体的ストレスとして疲労の蓄積、過労や暑さ、寒さ又寒暖差などの環境要因などでしょうか。
精神的ストレスは大きな出来事ばかりでは無く、些細な問題でも日頃から累積するとかなり影響をうけますね。
むしろこちらの方が問題でしょうか、人によっては気付かない事もありますし。
★不規則な生活習慣
特に睡眠不足や夜型生活などは個人差がありますので、どれ位の期間続くと影響が出るかは不明ですが間違い無く影響があるのでは無いでしょうか?
先述しました通り、1日の中で交感神経モードの時間帯と副交感神経モードの時間帯がありますので。
ご自身で調整出来るのであればまだ良いですが、お仕事で交代勤務がある方などは中々大変なことでしょう。
お若いうちはまだしも、年齢を重ねてきた場合かなりしんどいのでは無いでしょうか。
★ホルモンバランス
女性ホルモンなどはかなり自律神経に影響を及ぼしているようです。
女性ホルモンは周期的に変動しますし、ホルモンの減少などにより更年期障害と云われる症状は 自律神経失調症状でしょう。
また甲状腺疾患によるホルモンバランスの障害も自律神経のバランスに影響がみられます。
★体質
個人により自律神経のバランスが乱れやすい体質、性質(メンタル、性格的素因)もあります。
自律神経のバランスが乱れての不調と云われるのはもっぱら「交感神経」優位モードに偏り過ぎてしまい、アクセル踏みっぱなしで緊張しているという事ですね。
いかにリラックスが出来ないか、出来にくいのかという問題でしょう。
精神的ストレスも肉体的疲労も不規則な生活習慣も蓄積されることで自律神経のバランスが乱れ不調を引き起こす要因となりますのでご注意下さい。
【どのような症状が出る?】
自律神経の問題から起こりえる一般的な症状の特徴
★慢性的である、慢性化している。
★進行性では無い(症状が日増しに悪化する、急激に悪化するようなことは殆ど無い)
★複数の症状が全身的に起こりやすい
★日によって状態が変わることがある
★精神的ストレスの影響で症状が強まったり弱まったりすることがある
★その方の弱い部分に症状が出やすい
★症状の現れ方に個人差が大きい…等
「身体的症状」
●頭部や顔に現れる症状
頭痛、涙が多くでる/少ない、眼が付かれる、耳鳴り、唾液が多く出る口が渇く、喉の異物感…等
●胸部に現れる症状
動悸、胸痛、胸が締め付けられる感覚…等
●呼吸に現れる症状
息切れ、息苦しい…等
●頚、肩~背中~腰、関節に現れる症状
痛みやこり、関節痛…等
●胃腸に現れる症状
吐き気、食欲不振、便秘や下痢…等
●手や足に現れる症状
痺れ、冷感、力が入りにくい…等
●婦人科系に現れる症状
生理痛、生理不順…等
●膀胱など泌尿器系に現れる症状
頻尿、残尿感…等
●その他全身に現れる症状
疲れやすい、倦怠感、めまい、ふらつき、不眠傾向、ほてり、微熱、汗が多い/少ない…等
「精神症状」
●イライラ
●不安感
●気分の落ち込み
●集中力低下
●意欲低下…等
ざっと一例を上げてみました。
もちろん全ての症状が現れる訳では無く個人により違いがありますが、人によっては2~3,もちろん4~5~6と幾つもの症状を併せ持つ場合があります。
【ご注意、ちょっとお待ち下さい】
上記のような症状に当てはまるからといって「では、やはり自律神経から来ているのか?」などと考えるのは早計です。
現代医学的に自律神経失調症という診断名(病名)はございません。
なぜなら自律神経の働きの強弱をみる検査法はあっても(実際に病院で行われることは殆どありませんが)、確定する診断法(基準)が無いのです。
上記の症状をご覧頂ければお分かりの通り、他の疾患でもよくみられる症状ですね。
例えば、息切れ、胸痛、動悸…など心臓や肺などの疾患にみられる症状です。
大事な事はそれらの症状を引き起こしている「身体的な疾患」や「精神的疾患(うつ病や神経症など」が無いか診察することが先決です。
重篤な疾患などが隠れている場合もあります。
このように他の疾患から引き起こされている症状では無いと確認され、原因が特定出来ない時に初めて「では、自律神経の問題かも?」となります。
このような診断を「除外診断」と言います。
「自律神経のバランスが乱れて」や「自律神経失調症(症状)」などはあくまで便宜的な俗称となります。
【ではどうする?】
患者さまの利益(メリット)を考えた場合、もし病院受診をされていないような時はまずご本人が一番~三番目位まで気になる症状をピックアップして頂きそれらの診療科を受診してください。
何科に行って良いのかお分かりにならない場合は取りあえず「内科」を受診し相談しましょう。
先走って「心療内科」に行かないことをお勧め致します。
精神的な症状があったり不眠傾向、また自律神経だからといって自己判断せず、まずは「身体的疾患」があるのか無いのかを調べるのが先決です。
身体的疾患が無かった場合心療内科等の受診がよろしいかと思います。
【現代医学の治療は?】
特定出来る身体的、精神的疾患が該当しなかった場合。
●特に治療しない(薬など)
●気になる症状を緩和させる薬の処方
●精神症状が強ければ抗うつ剤などの処方
●不眠傾向が強ければ睡眠導入剤等の処方
●自律神経調整薬
●漢方薬…等
このようなケースになると思われます。
【整体など代替医療では?】
実際問題、現代医学のカテゴリーとしてはどちらかと言えば不得手の分野では無いでしょうか?
なぜならハッキリとした診断が付きにくくその為、治療法の選択もなかなか難しいと思われます。
代替医療の分野(整体などの手技系や東洋医学系の施術(漢方薬を含む)など)でも決して簡単な訳ではありませんが、現代医学的治療を補完できる可能性もありますので、有用な選択肢の一つとしてご考慮頂ければと考えます。
また患者さまにおかれましては施術を受ければそれで完了、などと思われずご自身でセルフケアや生活習慣や生活リズムを整えるよう努められることは必須でしょう。
”これさえ行えば簡単に改善する”などというものは存在しておりませんので地道に取り組んで頂ければと願います。
ちなみに当院でも「自律神経のバランス~」等、謳っております。
その為か「不眠傾向」を訴えられる患者さまは一定数いらっしゃいます。
もちろん不眠傾向のみでご来院されるわけでは無く他にも症状(例:頚肩こり、腰痛等)を皆さまお持ちです。
心療内科で「軽度のうつ病」や「不安神経症」などの診断を受け通院されている患者さまが現代医学以外のプラスαをお求めになってご来院されることもございます。
しかし、当院では特別に自律神経失調症状用の施術方法があるわけではございません。
どの症状の場合でも基本的に全身を拝見し、必要な部位に手技+氣功施術を行うのみではあります。
強いていえば頭部や頚部、顔面部、腹部、仙骨部への氣功施術は有用なケースが多く選択肢の一つとしてお勧め致します。
ただし当然のことながら改善の方向に向かうためには地道な努力は必要です。
「くれぐれも簡単に即効で改善されるもの」などとはお考えにならないようにご理解願います。
良き方向に向かいますことを願っております。